浮気をした方からの離婚請求は認められるのか【有責配偶者からの離婚請求について】

自分から離婚の原因となる行為をした配偶者を「有責配偶者」といいます。

協議離婚の場合は、有責配偶者からの離婚請求であっても、両者の話し合いで決着がつけば当然離婚は可能です。では、裁判で争っている場合、有責配偶者からの離婚の請求は認められるのでしょうか。

 

昭和27年の判例

過去の裁判例を見ると、有責配偶者からの離婚請求は認められていませんでした(最判昭和27年2月19日)。しかし、現在では、結婚生活の回復見込みが全くない状態で、戸籍上だけの婚姻を存続させるのはかえって不自然、という考えが主流となってきました。

離婚請求を容認することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない限り、有責配偶者からの離婚請求を認容することとされています。

 

その後の判例の要点を見てみましょう。

 

昭和62年の判例

判例では以下を判断要素として挙げています。

  • 夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及ぶ。
  • 夫婦の間に未成熟の子が存在しない。
  • 相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態に置かれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情が認められない。

婚姻生活が破綻していてさらに上記の3要件を満たす時、有責配偶者からの離婚請求を認めるとされています(最判昭和62年9月2日)。

 

平成6年の判例

後の判例では、有責配偶者からされた離婚請求で、夫婦の間に未成熟の子がいる場合でも、その一事をもって離婚請求が認められないものではなく、総合的に事情を考慮して、離婚請求が信義誠実の原則に反するとはいえない時には、請求が認容されることもあり得るとされました(最判平成6年2月8日)。

昭和62年の判例は絶対的なものではなく、あくまでも基準であって、「婚姻生活がすでに破綻している夫婦の有責配偶者からの離婚請求があった場合は、信義誠実の原則に反しなければ認められうる」という事になるかと思います。

 

過去の裁判判例は、協議離婚をする際にも、1つの判断基準になるかと思います。
離婚協議書の作成でお困りの時は専門家へご相談ください。