相続に関する手続きについて

被相続人が亡くなった後に行うべき手続きは沢山あります。
親族が亡くなったことによる精神的なショックの中で、事務的な作業をこなしていくのは非常に大変なことです。しかし、法律によって定められた期間は待ってくれません。
専門家等に相談し、早急に手続きを開始しましょう。

①死亡届 ※7日以内

届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内に届出る必要があります(戸籍法86条)。

届出義務者は「同居の親族」「その他の同居者」「家主、地主又は家屋もしくは土地の管理人」とされています(戸籍法87条1項)。

②書遺言の検認 ※相続の開始を知った後、遅滞なく

書遺言書(公正証書遺言を除く)の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、家庭裁判所に提出して検認を請求しなくてはなりません(民法1004条)。

改正民法施行後には、自筆証書遺言書を法務局で保管できるようになり、法務局保管の自筆証書遺言書は検認の手続きが不要となります。平成30年7月13日より2年以内に施行される予定です。

③相続の放棄または限定承認 ※相続の開始を知った後3ヵ月以内

相続人(及び包括受遺者)は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に、相続の承認または放棄をしなくてはなりません(民法915条)。何も手続きをせずに3ヵ月経過すると限定承認をしたとみなされます。

④死亡した人の所得税の申告と納付 ※相続の開始を知った後4ヵ月以内

被相続人の確定申告について、相続人が相続開始を知った後4か月以内に手続きをする必要があります(所得税法124条)。

⑤相続税の申告と納付 ※相続の開始を知った日の翌日から10ヵ月以内

相続または遺贈により財産を取得した人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内に相続税を申告・納付する必要があります(相続税法27条)。期限経過してしまうとペナルティがあるため注意が必要です。

遺産分割協議が難航している場合でも、相続人等が法定相続分または包括遺贈の割合に従って取得したものとして相続税の計算をします。一旦期限内に申告・納付をして、分割協議が調った後に改めて各人が実際に取得した相続財産に基づき相続税の計算を行い、精算します。

⑥遺留分減殺請求権 ※知った時から1年 相続開始の時から10年

配偶者・子・直系尊属の持つ遺留分減殺請求権は、遺留分権利者が相続の開始及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも時効によって消滅する(民法1042条)。

⑦死亡保険金の請求期間 ※原則3年以内

生命保険会社の普通保険約款では時効による消滅期限を3年としています。

 

各手続のほとんどには期限が定められています。被相続人に多額の借金があるのに相続放棄の手続きを忘れていたりすると返済義務を負う事になってしまいます。各手続きについて、早めに行うようにしましょう。