空き家となっている住宅を取得したきっかけとして、最も多いのが「相続」によるもので、全体の52%を占めています(国土交通省の「平成26年空家実体調査」)。
将来的に空き家となってしまう可能性のある物件を所有している場合は、早めの対策が必要です。
リバースモーゲージの活用
リバースモーゲージとは、自宅等を担保として老後の生活資金を借り受けて、借受人の死後に担保とした自宅等を売却して債務を返済するという仕組みです。基本的に一括で借り入れるのではなく、老後の生活費として毎月または数か月ごとにまとめて貸付をします。根抵当権を設定して、極度額に達するまでまたは借受人の死亡時まで貸付をします。基本的には担保物件の評価額の70%程度を貸付の限度額とすることが多いようです。
※神奈川県社会福祉協議会HPより画像引用
上の画像は神奈川県社会福祉協議会の概要図ですが、リバースモーゲージには社会福祉協議会が貸し付けるものと、民間の金融機関が貸し付けるものがあります。それぞれ返済条件等が違います。社会福祉協議会の方は高齢者が安定した生活を送れるようにすることを目的としているため、金利が安く、一定以上の年収がある人は利用できません(所得制限等)。
信託制度の利用
信託とは、財産管理のための制度です。自身の所有している財産を他人に管理、処分を行ってもらうときに代理人として頼むのではなく、自身の財産名義を管理、処分を行う他人に移してしまいます。
・信託する財産の元々の所有者 →「委託者」
・委託者から財産の管理、処分を託された人を →「受託者」
・財産の管理、処分によって発生した利益を受ける人を →「受益者」
信託契約には以上の3種類の登場人物が出てきます。信託契約は自由に内容を決める事ができるうえ、信託財産は受託者の名義になるため委託者の財産ではなくなります。
判断能力が衰える前に
空き家対策(相続対策)の例を2つ挙げさせていただきました。
判断能力が衰え成年後見が開始した場合、本人の意思で財産を管理、処分することはできなくなります。後見人が財産を管理することになり、後見人は被後見人の利益を最優先に考えて財産管理、処分行為を行うため、必ずしも後に残される相続人に有益な行為をするわけではありません。後々の相続の事を考え、元気なうちに空き家対策(相続対策)を行いましょう。