【離婚後の養育費について】

未成年の子どもが成人するまでは、父母それぞれが養育する義務があります。離婚をしたから負担をしないという選択を取ることはできません。協議離婚で養育費を支払わない取り決めをしても、家庭裁判所に申し立てることで養育費の支払いを認められるケースもあります。

一般的には子供が成人する20歳まで扶養義務がありますが、養育費の支払い期間を子供が高校を卒業して就職する18歳までとしたり、大学卒業の22歳まで延ばすという選択を取ることもできます。

 

養育費の決定について

養育費の金額について、まずは話し合いをします。話し合いによる協議がまとまらないときは、離婚前であれば離婚調停で対応します。調停では、養育費算定表が用いられ、養育費の目安を決めます。養育費算定表は、父母の収入をもとに、子供を扶養していない方の親が支払うべき標準的な金額を示したものです。

実際に支払う金額は、算定表の枠内で、父母が協議して決定することになります。

養育費の支払い中に両親の経済状況が変化して、取り決めた額の支払いが困難になった場合は、両親が話し合いで金額の増減について交渉します。合意が得られれば公正証書等の文章にまとめます。合意が得られない場合は、養育費の額の変更を求める調停を利用します。

 

養育費の支払いが滞ったら

養育費が約束通りに支払われない場合は、電話や手紙などで催促します。それでも支払われない場合は内容証明郵便で催促する方法もあります。内容証明郵便とは、発送した文章の内容を日本郵便株式会社が証明してくれる制度です。必ず手渡しで配達され、受取人からはサインをもらいます。債権回収の際に利用されることが多く、後々裁判をする場合には証拠になります。

履行勧告と履行命令

家庭裁判所の調停、審判、判決で養育費の支払いが決められているのに支払いがない場合は、家庭裁判所に「履行勧告」の申立てができます。裁判所からの勧告ですが、強制力はありません。

履行勧告があっても支払いされない場合は、「履行命令」の申立てをします。家庭裁判所が支払いをしない人に対して期限を定めて支払うように命令します。正当な理由なく命令に従わない場合は10万円以下の罰金が課せられます。

「履行勧告」「履行命令」の申立てができるのは、家庭裁判所の調停、審判、判決で支払いを決めた場合であり、協議離婚での取り決めの場合は利用できません。

強制執行

次に強制執行という方法があります。「履行勧告」「履行命令」と同じく家庭裁判所の調停、審判、判決で支払いを決めた場合もしくは、協議離婚の際に強制執行認諾約款付公正証書を作成した場合に「強制執行」の申立てができます。強制執行により相手の預金や給与を差し押さえることができます。

 

厚生労働省の平成28年の調査では、離婚後の母子家庭のうち養育費の取り決めをしているのは全体の42.9%となっています。それに対して、実際の受給状況は24.3%です。協議離婚の際は、強制執行認諾約款付公正証書を作成しておくことで、養育費の確実な確保につながります。

※厚労省平成28年度調査結果へのリンク