なぜ離婚協議書を作成するのか【離婚協議書と公正証書について】

離婚協議の話し合いを終えたら、取り決めた内容は必ず離婚協議書として残すべきです。離婚協議書には、親権者、養育費、面会交流、財産分与、慰謝料などについての決定事項を具体的に記載します。

同じものを2通作成して2人の自筆署名と印を入れて、それぞれが1通ずつ保管しておきます。このままの状態だと、取り決めを書き留めただけの私的書類にすぎないため、公正証書を作成することをおすすめします。

なぜ公正証書を作成すべきなのか

公正証書とは、公証人役場にて公証人に作成してもらう公文書です。公証人とは、裁判官や検察官などの実務経験を長く積んだ人の中から法務大臣によって任命される公務員です。公証人の作成した公正証書は、私的な文書と比べて強い「証明力」を持ちます。まずは私的書類としての離婚協議書を作成し、それを基に公正証書を作成してもらいます。

公正証書の中に「強制執行認諾約款」を付け加えます。強制執行認諾約款とは、記載された取り決めを破ったら強制執行ができるという一文を記載するものです。

通常であれば、約束通りに養育費の支払いがされない場合は、裁判所へ相手方からの支払いを求める訴訟を提起して、勝訴判決を得てから強制執行をする流れになります。強制執行認諾約款があれば、裁判の申立てをすることなく、強制執行ができます。ただし、強制執行の対象となるのは、養育費や慰謝料などの金銭についてだけです。

さらに、作成された公正証書は公証役場で20年間保管されるため、正本や謄本を紛失した場合などに再交付を受けることができます。

公証人費用がかかりますが、証明力の強い公正証書を作成しておくと安心感が違います。協議離婚の際は、公正証書の作成をご検討ください。