検認の申立て
自筆証書遺言の保管者、または発見者は相続開始後遅滞なく、相続開始地(被相続人の住所地)の家庭裁判所に検認の申立てをしなければなりません(民法1004条1項)。公正証書遺言は検認不要です。
封印のある遺言書は、相続人またはその代理人の立会いの上で、家庭裁判所において開封します(民法1004条3項)。
検認とは
相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
補足【改正民法について】
現行の民法では自筆証書遺言の場合は必ず検認が必要になりますが、改正民法では、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が創設されます。これによって、法務局に保管した自筆証書遺言は検認の手続きの必要がなくなります。また、これまでは本人の自書で作成する必要のあった財産目録などはパソコンで作成することができます。
現行法では公正証書で遺言を残す方が多いですが、今後は自筆証書遺言の作成件数も増えていくと思われます。 ※2020年7月12日までに施行される予定です。
遺言執行者の選任
遺言執行のために、遺言執行者を選任することがあります。遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します(民法1012条1項)。
遺言執行者は、「遺言者による指定(民法1006条1項)」「遺言で委託された受託者による指定(民法1006条1~3項)」「家庭裁判所による選任(民法1010条)」という方法で選ばれます。
遺言書を作成するときに遺言執行者を指名することが多いです。相続人や受遺者または、遺言書の原案を作成した行政書士や弁護士が指名されることがほとんどです。
また、遺言執行者は複数人でも構いませんが、未成年者と破産者は遺言執行者になれません(民法1009条)。