法定相続人の間でどのように遺産を分けるか【遺産分割について】

被相続人が遺言を残さずに亡くなり、すべての法定相続人が単純承認した場合は、各相続人が法定相続分の遺産を相続します。民法の考えかたでは、複数人が遺産を相続(共同相続)した場合、その遺産は「共有」と呼ばれる状態になります。例えば、土地を相続人AとBが相続した場合、土地の所有者はAとBの2人となります。

この共有関係を解消し、遺産を各相続人に分配して、それらを各相続人の「単独所有」にすることを遺産分割といいます。遺産分割をせずに、共有状態のまま登記をされている土地や建物がありますが、権利関係が複雑になるため、あまり好ましくはありません。土地の処分や、その後の世代が相続をする際に、紛争の元となってしまう事があります。

遺産分割協議という共同相続人全員での話し合いによって、「誰がどの財産を貰うか決めよう」というのが遺産分割の目的です。

 

遺産分割の方法

被相続人が死亡し、子供であるAとBが相続人。相続財産は「不動産」「骨董品」のみであった場合を例とします。

  • 【現物分割】 現物をそのまま分割します。

例)不動産はA、骨董品はBが相続する。

  • 【換価分割】 財産を売却し、その代金を配分します。

例)不動産と骨董品を売却し、売却代金の1000万円をA、Bで500万円ずつ分ける。

  • 【代償分割】 現物を特定の者が取得して、取得者がほかの相続人に相続分に応じた金銭を支払う方法です。

例)不動産、骨董品ともにAが取得し、AからBに現金500万円を支払う。

また、被相続人は遺言で遺産分割の方法を指定することができます(民法908条)。

 

遺産分割協議

遺産分割協議において、遺産分割の方法を決め、相続する遺産を決定します。遺産分割協議の当事者となるのは「共同相続人」「包括受遺者」「相続分の譲受人」「遺言執行者」です。これらの者の一部を除外してなされた分割協議は無効となります。

遺言により、各相続人の相続財産が指定されていれば遺産分割協議は不要ですが、相続人全員の合意があれば、被相続人の指定に反する分割も有効になります。

ただし、遺産分割協議において、錯誤・詐欺・強迫があれば、無効・取消しが認められます。

協議による遺産分割がまとまらない場合は、調停や審判による分割をすることになります。

 

遺産分割協議成立には、共同相続人全員の同意が必要になります。各相続人が法定相続分や遺産分割の方法について理解することが必要です。

遺産分割の際に親族間でトラブルになってしまうケースが非常日多いです。残される遺族のためにも生前の遺言作成をおすすめします。