飲食店開業に必要な要件

飲食店を含む「食品に関する営業」を始める際には、所管する保健所に営業許可の申請を行い、営業許可を受ける必要があります。
許可を取るためには必要な要件が定められており、要件を満たさないと許可を受けることができません。飲食店開業に必要な要件を解説したいと思います。

飲食店営業、深夜営業について特設サイトもご覧ください。

 

用途地域の制限を満たしていること

用途地域とは、その地域の用途の混在を防ぐために都市計画法という法律で定められた地域地区のことです。たとえば「住居専用の地域」には規模の大きな店舗等は建てられないといった決まりがあります。
工業専用地域では店舗等は一切建てることができません。また、住居専用地域では住居との兼用である事などの条件や店舗部分の面積制限があるため注意が必要です。

 

欠格事由について

以下に該当する場合は許可を受けることができません。

①食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者

②食品衛生法第55条第1項又は第56条の規定により許可を取り消され,その取消しの 日から起算して2年を経過しない者

法人の場合は役員の1人が上記に該当した場合は、許可を受ける事ができないので注意してください。

 

営業施設の基準

営業施設の基準には、すべての業種において必要な基準である「共通基準」と業種ごとに定められた「特定基準」があります。

共通基準

① 営業設備の構造
【場所】清潔な場所を選ぶ
【建物】鉄骨、鉄筋コンクリート、木造造りなど十分な耐久性を有する構造
【区画】使用目的に応じて、壁、板などにより区画する
【面積】取扱量に応じた広さ
【床】タイル、コンクリートなどの耐水性材料で排水がよく、清掃しやすい構造
【内壁】床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造
【天井】清掃しやすい構造
【明るさ】50ルクス以上
【換気】ばい煙、蒸気等の排除設備(換気扇等)
【周囲の構造】周囲の地面は、耐水性材料で舗装し、排水がよく、清掃しやすい
【ねずみ族、昆虫等の防除】ねずみ族や昆虫などの防除設備
【洗浄設備】原材料、食品や器具等を洗うための流水式洗浄設備・従事者専用の流水受槽式手洗い設備と手指の消毒装置
【更衣室】清潔な更衣室又は更衣箱を作業場外に設ける

② 食品取扱設備
【器具等の整備】取扱量に応じた数の機械器具及び容器包装を備える
【器具等の配置】移動し難い機械器具等は、作業に便利で、清掃及び洗浄をしやすい位置に配置する
【保管設備】原材料、食品や器具類等を衛生的に保管できる設備
【器具等の材質】耐水性で洗浄しやすく、熱湯、蒸気又は殺菌剤等で洗浄が可能なもの
【運搬具】必要に応じ、防虫、防じん、保冷のできる清潔な食品運搬具を備える
【計器類】冷蔵、殺菌、加熱、圧搾等の設備には、見やすい箇所に温度計や圧力計を備える必要に応じて計量器を備える

③ 給水及び汚物処理
【給水設備】水道水又は飲用的と認められる水を豊富に供給できるもの
貯水槽は衛生上支障のない構造。ただし、島しょ等で飲用適的の水を得られない場合には、ろ過、殺菌等の設備を設ける
【便所】作業場に影響のない位置及び構造で、従事者に応じた数を設け、使用に便利なもので、ねずみ族、昆虫などの防除設備、専用の流水受槽式手洗い設備、手指の消毒装置を設ける
【汚物処理設備】ふたがあり、耐水性で十分な容量があり、清掃しやすく、汚液や汚臭が漏れないもの
【清掃器具の格納設備】作業場専用の清掃器具と格納設備

 

 

飲食店営業の特定基準

【冷蔵設備】食品を保存するために、十分な大きさを有する冷蔵設備を設けること
【洗浄設備】洗浄槽は、2槽以上とすること。ただし、自動洗浄設備のある場合又は食品の販売に付随するものであって、当該食品の販売に係る販売所の施設内の一画に調理場の区画を設け、簡易な調理を行う場合で衛生上支障ないと認められるときは、この限りでない
【給湯設備】洗浄及び消毒のための給湯設備を設けること
【客席】客室及び客席には、換気設備を設けること。客室及び客席の明るさは、10ルクス以上とすること。また、食品の調理のみを行い、客に飲食させない営業については、客室及び客席を必要としない
なお、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律又は旅館業法の適用を受ける営業を除く
【客用便所】 客の使用する便所があること。ただし、客に飲食させない営業については、客用便所を必要としない。なお、客の使用する便所は、調理場に影響のない位置及び構造とし、使用に便利なもので、ねずみ族、昆虫等の侵入を防止する設備を設けること。また、専用の流水受槽式手洗い設備があること

 

 

食品衛生責任者の設置

営業所ごとに食品衛生責任者の設置が必要になります。
栄養士、調理師などの資格を保有している場合は食品衛生責任者になることができます。資格保有者がいない場合は、食品衛生責任者の資格取得のための養成講習を受講する必要があります。

 

 

以上、許可を受けるための要件は様々あります。設備要件は「居抜き物件」を利用する際にも注意してください。「前の借主も同じ飲食店を経営していたから大丈夫だろう」と思ってそのまま申請をして検査に引っかかってしまう事もあります。見取り図を用意して不安な点は保健所に事前相談しましょう。

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