遺産分割時に要注意!【不動産の相続について】

遺産分割をする際に重要になるのが、相続財産の評価についてです。預金や現金に対する相続発生時の価値は一目瞭然ですが、不動産や動産などは評価額を算出して、その不動産や動産の価値を把握する必要があります。また、被相続人の残した不動産に住宅ローンの支払いが残っていた場合などに問題が発生します。
今回は不動産の相続について解説いたします。

 

不動産の評価

実際の取引価格(時価)で評価します。相続人間で話し合いがつかない場合は、不動産鑑定士に調査依頼をするのが一般的です。注意していただきたいのは、固定資産税を算出する際の評価額と、相続税を算出する際の評価額は時価は使っておらず時価よりも低く算出されていることが多いです。参考程度と考えてください。

相続する土地の面積について、法務局に登記されている面積と実際の現地の面積に誤差が発生していることがあります。明治時代の地租改正事業以降、測量されていない土地が存在するためこのようなことが起こってしまいます。登記地籍と実際の地籍に誤差がある場合は、土地家屋調士に依頼をして、実際の面積を調査してから評価をする必要があります。

また、借地権については、その土地の更地評価額に借地権割合(7~8割程度)をかけた額を基準とします。

 

住宅ローンの残った不動産について

住宅ローンが残っている場合、団体信用生命保険が付いていれば、融資残高は保険金で決済されるため、ローンはなくなります。一方、保険付きでない場合はローンの支払い義務も相続するため、ローンの返済を続けるか一括で残債務を返済する必要があります。

 

抵当権付の土地建物について

【被相続人自身の借金に対する担保の場合】
抵当権の目的が被相続人自身の借金の場合は、相続人は借金も相続するため返済する必要があります。

【他人の借金の担保として抵当権を設定していた場合(物上保障)】
抵当権の目的が他人の借金に対する担保の場合は、相続人に返済の義務はありませんが、債務者(借金をした人)が返済をしなかった場合は、その不動産が競売にかけられてしまいます。

不動産を相続した場合の手続き

土地や家屋などの不動産を相続した場合は、その土地を管轄する地方法務局で所有権移転登記の手続きをする必要があります。不動産の調査をしていると「住んでいる土地だから」という理由で、所有権移転の登記をしないままの土地、建物を見かけることがあります。民法177条に不動産登記をしないと第三者に対して所有権を主張できないという趣旨の条文があります。遺産分割で自身が相続した土地なのに、他の共同相続人が知らぬ間に処分してしまうという事も考えられます。このようなトラブルを防ぐため、遺産分割後にはすぐに所有権移転登記の手続きをしましょう。

 

普段から不動産の登記情報を見慣れていないと、抵当権等の権利関係についての把握が難しいと思います。不動産の相続でお困りの際は専門家へご相談ください。