不動産の遺言はどのように残せばよいか【遺言書の作成】

相続財産として不動産を所有されている方は多いと思います。今回は不動産について遺言書に記載する際の注意点を解説いたします。

 

【所有不動産の調査】

まず、所有している不動産すべてをリストアップします。すべての不動産の税金を自身で払っている場合は固定資産税の納税通知書が毎年役場から送られてきますので、そちらで確認ができます。

非課税の土地があったり、自身が固定資産税を納税していないなどの事情で、所有している不動産すべてを正確に把握できていない場合はもあるかと思います。その場合は、市町村役場の税務課で「固定資産課税台帳(名寄帳とも呼ばれています)」を閲覧すると、その市町村に自身が所有している不動産を把握できます。注意していただきたいのは、あくまでも市町村税の情報なので、閲覧した市町村以外に所有している不動産があった場合、その情報は出てきません。また、固定資産税は毎年1月1日の不動産情報をもとに課税されますので、その年の3月に家を建てた場合は、その年の名寄帳に情報が出てきません。逆に、その年の3月に家を取り壊した場合は、その年の名寄帳に家の情報が出てきてしまいます。

また、未登記の建物を所有している場合であっても名寄帳に記載されます。名寄帳は登記情報を基に作成された課税台帳ですが、登記されていない物件についても市町村役場は調査をして、課税台帳に記載し、課税をしているのです。遺言書には未登記である旨を記載しましょう。

ご自身ですべての不動産を把握できていれば問題ありませんが、特に注意していただきたいのは、住宅地の前面道路が私道であった場合です。私道の場合は数人で共有している状態が多いですが、主となる不動産を相続する人が私道の持ち分も一緒に相続するべきです。

 

 

【遺言書への記載】

次に不動産の情報を遺言書に記載するときの注意点です。不動産は相続によって所有権が移ったら相続登記をします。登記手続きをスムーズに進めるためにも、不動産の特定ができる情報をきちんと記載する必要があります。土地の場合は「所在」「地番」「地目」「地積」を登記情報の通りに記載します。建物の場合は「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」を登記情報の通りに記載します。

マンションを所有している場合、土地の登記の分類が大きく2つに分かれます。敷地権登記のあるマンションと敷地権登記のないマンションです。敷地権登記とは、マンションの1室と敷地の利用権を分離して処分できないとしたものです。敷地権登記をされている場合は遺言書にはその旨を記載し、敷地権登記がない場合は、土地と建物の情報をそれぞれ記載しましょう。