相続法改正 配偶者短期居住権

平成30年7月13日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律が公布されました。
その中に配偶者の居住権を保護するための方策として「配偶者短期居住権」が新設されました。前回解説した「配偶者居住権」は残された配偶者が亡くなるまで有効となるものでしたが、この制度とは別に短期的な居住権の制度も創設されました。
今回は配偶者短期居住権について解説したいと思います。

配偶者短期居住権とは

残された配偶者が、被相続人の財産に属した建物を相続開始の時に無償で居住していた場合には、その居住建物の所有権を相続または遺贈により取得した者に対し、配偶者短期所有権を有するという制度です。配偶者短期居住権の期間は、

「居住他建物について、配偶者を含む共同相続人間で遺産分割をする場合、遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日、または相続開始の時から6ヵ月を経過した日のいずれか遅い日までの期間」

「上記以外の場合、居住建物取得者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができるが、この申入れの日から6ヵ月を経過した日までの期間」

となっています。

概略だけをざっくり述べると、「被相続人の遺産である建物に居住している配偶者は相続開始後に最低6ヵ月間住み続けられる」という制度です。もちろん配偶者が単独所有をしない場合や、「配偶者居住権(長期的なもの)」の対象とならなかった場合を想定してできた制度です。


※出所「法務省ホームページ」

前回説明したのは長期間的な「配偶者居住権」でしたが、配偶者居住権を取得できなくても「配偶者短期居住権」は認められることになります。
今回の相続法改正は残された配偶者保護に重点が置かれているのを理解していただけたかと思います。

次回も続けて相続法改正について書きたいと思います。